木のものづくりに興味がある、家具作りを仕事にしたい、木育に携わりたい、森のことを学びたい・・・。こんな思いを持っている人へ、新しい時代の木工を学べる学校、岐阜県立森林文化アカデミーを紹介します。
Blog by Masashi Kutsuwa @ Gifu Academy of Forest Science and Culture
12 December 2006
そして人力編!/ man-powered turning
さて電動旋盤組が「すり鉢」を作っている間、会場の奥のほうでは人力組が「すりこぎ」を作っていました。
なぜ今どき「すり鉢とすりこぎ」なのか?それは次回タネ明かしをすることにいたしましょう。
While electric lathe group was turning mortars, man-powered turning group was making pestles at the other side of the venue. Why pestles and mortars? Check it out on my next post.
人力組は生木をナタで割るところから始めます。この木はアカデミーの学生たちが実習で郡上の森から伐ってきた間伐材で、径が小さくこうして使われることがなければチップなどにしか加工されないものです。カエデやブナを用意しました。
参加者のみなさんは60歳前後の方が多かったので、僕よりずっと上手なのでは・・・と思っていたのですが、意外にも初めての方ばかりでしたね。
We started from cleaving a log into small bits. These logs, such as maple and beech, were thinned by Academy's students at a forest in Gujo. They are so small in diameter that they would only be used as pulp chips unless we use them.
The participants were mostly late 50s and early 60s and I expected they had some experience in cleaving, but no one actually did.
ナタで適当な大きさに割った後は、オノで皮をはぎ、丸い形に近づけていきます。
Shaping the cleft bits into a rough cylinder with an axe.
これは「シェービングホース」です。アルプスの少女ハイジで、おじいさんがこの道具を使っていたのを覚えているでしょうか。羊飼いのペーターもこの道具で手づくりのソリを作って、ソリレースで優勝するのです。それを機にペーターは木工に興味を持つようになり、森林文化アカデミー・ものづくり研究会の門を叩く・・・そんなストーリーでした。
それはさておき、センという刃物でさらに丸く削っていきます。英語ではドローナイフ。ナタやオノ、そしてこのドローナイフもそうですが、西洋で使われているものと日本のものは形がほぼ同じです。
Another shaping process with a draw knife on the 'shaving horse'. Interestingly these green woodworking tools, such as drawknives, axes and froes are very similar in Japan and Western countries.
シェービングホースが終ると、こんどは「足踏み旋盤」。このブログでも何度かご紹介していますが、イギリスで習ってきたものです。この手のものは日本にないので、みなさんずいぶん珍しそうでした。コツを覚えると初めての人でもすぐにうまく削れるようになります。やわらかい生木を使うのでサクサク削れて気持ちいいですよ。
Turning on a pole lathe. We don't have this type of lathes in Japanese history so everyone was curious. It was easy enough for beginners to turn a green wood on it.
最後に先端の形を整えるのを、この「手挽きろくろ」でやりました。この講座のために作ったオリジナルで、材料をつかむところも木でできています。実はこの工程がいちばん疲れました!3分ひもを引いているともうヘトヘト汗だく。この手挽きろくろ、昔はだんなさんが楽な刃物の方、奥さんが大変なひもの方を担当していたのだそうですが、木地師の奥さんの苦労がしのばれます。机の上の砂時計、見えますか?どれだけ時間がかかるか計ってもらい、交代の目安にもしてもらいました。
Final process involves Japanese traditional lathe. These lathes were made in Academy specially for this course. The base, the shaft and the chuck were all made of wood. Japanese turners used to use this tool and it was always wife's role to pull the rope. We tried and found that this was the most tiring process of all. Three minutes of pulling makes your arms powerless. A sandglass on the table was telling the turner and the puller to swap their roles!