27 August 2011

Cormorant fishing basket / 鵜飼いの籠づくり

毎週金曜日は、グリーンウッドワーク協会のメンバー5人で竹細工を学んでいます。
今月から、鵜飼いに使われる「吐け籠」を作り始めました。鵜が捕った鮎を吐かせるための籠です。
冒頭の写真は先生の作。大小あり、入れ子になります。これは小さい方。ただし近年は鮎があまり捕れないため、もう一まわり小さくしてほしいと鵜匠さんから注文があるそうです。
Five members of Green Woodwork Association, including myself, are practising bamboo basketry every Friday.
We started making 'Hake Kago', a basket to keep sweetfish caught by cormorants in the river.
There are two sizes of Hake Kagos. The first photo shows the small one. The cormorant fishermen ask the basket maker to make even smaller size of this basket, as the amount of sweetfish keeps decreasing these days.


竹細工の先生は長良川鵜飼いの道具を一手に引き受けるベテランの職人さんですが、いまは体調を崩されていて、この春からはメンバーの「自主練」です。メンバーの1人が先生のお宅に伺って制作上のポイントを聞き、現物を測って材料をこしらえ、あとは現物を見ながら試行錯誤しています。
それでも、1年間基礎を教えていただいたおかげで、何とか編み方が分かります。
We practise on our own since this spring, as the basket maker, who makes all the baskets for the cormorant fishing in Nagara river, is not well and stays at home. One of us goes to his home and get some advice whenever we make a new item. Then we measure the real item made by the master and have a try.
We learned the basic technique from the master last year, and it helps a great deal.


それぞれの部材を、所定の長さ、幅、厚みにするのに数日。そして丸一日かけて編んでやっと5センチほど。
意識せずに編み続けると、不思議とどんどん先すぼみになります。美しくふくらませながら立ち上げるのが難しいそうです。
I spent a few days to prepare the material, and another whole day for weaving up to 5cm tall. It tends to go narrower as it gets taller.

24 August 2011

ウインザーチェアづくり5 / Windsor chair making 5

しばらく更新できませんでしたが、ウインザーチェアづくり、なんとか終了しました。
アームの曲げは、はじめは柔らかいクリで試しましたが、蒸し足りなくて外に割れが発生したり、蒸しすぎて内にシワがよってしまったり、加減に苦労しました。結局、アームのみナラを用いて無事に曲げることができました。
I had some troubles when bending the arm. At first I tried sweet chestnut which is much softer than oak. It gets wrinkles inside if the steaming is too much, and it breaks outside if the steaming is too little. I ended up with changing the material to oak.



完成した椅子です。遠くから見るといいのですが、近くで見るとあそこに隙間、こちらに捻れ、問題点だらけでした。そしてオリジナルの村上富朗さんの椅子に比べ、気品が足りません。村上さんを偲びながら取り組んだ夏休みの宿題。やっぱり村上さんはすごかったな、と改めて思いました。
This is the chair I made. It looks okay but there are so many unpleasant details that I don't take close up photos. I started this project as a tribute to Tomio Murakami, Japan's chair master who passed away in July. Through the project I recognized again of his great craftsmanship.


11 August 2011

町家を活かす / revitalize old town houses


8月27日(土)、岐阜市の古い町並みが残る川原町地区で、小さな空き家の改修計画の発表会が行われます。発表するのは、京都造形芸術大学・通信制大学院で木造建築を学ぶ4人の学生さんたちです。大学院なので、学生さんといってもプロの方もおられます。
この企画、実は私も「施主」として関わっています。春先に4人の学生さんたちの前で、私たち家族が住まいに求める条件をいろいろお話ししました。たとえば・・・
・家族3人で暮らしたい
・夫は自宅で竹細工をするスペースがほしい
・妻は自宅で漆教室を開きたい
・・・などなど。学生さんたちはこの条件に基づき、空き家の改修計画を立ててくれました。そしてその空き家を会場に、発表会が行われるのです。

指導しているのは、森林文化アカデミーの客員教授でもある三澤文子先生です。リアリティある教育に力を入れておられて、家ひとつ設計させるにも、材料が育つ山へ学生を連れて行ったり、実際の敷地を測量させたりします。今回は、私たち家族がたまたま新しい住まいを考えていたため「施主」として声がかかり、ご協力させていただくことになったというわけです。現存する空き家の大家さんに許可をいただき、学生のみなさんに測量や聞き取りをしてもらいました。



聞き取りで浮かび上がってきたのは、こうした町家を維持するのも大変だということです。岐阜市から町並み保存のための少額の補助はあるものの、大半はそこに住む住民のみなさんの努力で古い町並みが保たれています。ただし所有者が手を入れられず、空き家として朽ちていったり、取り壊して駐車場になってしまう例も多数見受けられます。
そこで三澤先生は、 学生の発表会と同時に、「町家活生」を考えるミニ・シンポジウムも企画されました。3人の先生方が、町家の耐震性を高めたり、寒さを改善する方法などについて講演します。

大学の一授業をここまで社会的に意味あるものに高める三澤先生の力には、いつも感心させられます。
チラシはこちらからダウンロードできます。http://goo.gl/1iI8s



10 August 2011

ウインザーチェアづくり4 / Windsor chair making 4

脚やスピンドルの穴開け。脚は角度が少しでもずれると出来上がったときにいびつに見えてしまうので、角度を固定する道具をつくりました。
Drilling mortises for legs and spindles. The angle of leg mortises needs to be precise for symmetrical looking when assembled.

四方反り鉋で削ります。村上さんは「オレは早いよ」と言って、片面を1〜2時間で仕上げていました。鉋の刃も、1分ほどで研いでしまい、すぐ作業に戻ります。
We use round base plane for shaping the seat. The chair master Tomio Murakami used to shape the upper side in an hour or two. He spent only a minute for sharpening the blade.

私はなかなかそうは行きません。両面仕上げるのに、ほぼ1日がかりでした。
I spent almost a whole day for both sides.

08 August 2011

ウインザーチェアづくり3 / Windsor chair making 3

村上富朗さんの展覧会では、おそらく最後の作品と思われるクリのウインザーチェアが展示されていました(写真)。その椅子は背とアームのみ、ナラが使われていました。ナラの方が曲げ木に強いのでそこだけナラを選んだのか、あるいは村上さんはふだん半年〜1年分の曲げ木をまとめてするので、よく使うナラしか在庫がなかったのか・・・おそらく両方だろうと思います。
私はクリを使ってみました。長さ1300mm、23mm角に挽いたものを八角形に削り、30分蒸して曲げました。なお、背とアームの木取りだけはバンドソーを用いました。丸太を割って木取りをすると、歩留まりが悪くなってしまうからです。 
Tomio Murakami, Japan's renowned chair maker who passed away last month, made a sweet chestnut Windsor  at the end of his woodworking career. I saw the chair and noticed that he used oak for steam-bent back bow and arm. He probably chose oak as it is stronger than chestnut, or he only had oak stocks for bow. Maybe both.
I am making a copy of his last chair as a tribute, but I tried sweet chestnut for the bow. I bandsawed the piece by 23mm square and 1300mm in length and steamed it for 30 minutes.
一部、内側にシワがよりました。材がやわらかすぎるときに起きる現象です。クリの曲げ木はこれまで実績がありますが、蒸し過ぎた時にこの現象が起きました。23mm角なので、もっと短くてもよかったかも知れません。
The bow had got some wrinkles inside the curve. It tends to happen when the material is too soft. I steamed it 30min but it could have been less.

削り馬の使い方 / how to use shaving horse

森林文化アカデミーの学生たちが削り馬を使って箸をつくっているところです。
Students are making chopsticks on the shaving horses.


最近、仲間が削り馬の新しい使い方を考案してくれました。竹の表皮を剥くのに使います。今までは椅子に座り、テーブルなどに立てかけてやっていましたが、削り馬を使うとしっかり固定できて便利です。
Recently we are using the shaving horse for peeling the skin of bamboo. We used to do it sitting on a chair and leaning bamboo against a table. The shaving horse holds bamboo better.


06 August 2011

削り馬 / shaving horse

スコットランドの友人から、私がどんな削り馬を使っているかと質問があったので、私の削り馬を紹介します。ちなみに削り馬とはシェービング・ホースという英語の和訳で、またがってペダルを踏み、材料を固定して削る道具です。
私は出前講座などに使うので、折りたためるようにデザインし、これまで何度か改良してきました。写真の左が第1世代、右が第3世代です。
My friend Eoin Cox in Scotland is asking me how my shaving horse looks like, and here it is. I designed my shaving horse foldable so that I can carry them around and run courses, and revised the design several times. The left one is the first model and the right is the third.



第1世代は分解が必要でしたが、第3世代は折りたたむだけです。
The first model requires some disassembling to fold, but the third model doesn't.

5秒で組み立てられます。
Five seconds to unfold.
写真は試作なのでスギを使いましたが、 実物は東濃ヒノキを使っています。
This mockup is made of cedar. The real horses are made of Japanese cypress.

02 August 2011

ウインザーチェアづくり2 / Windsor chair making 2

左からアームポスト、貫、長短のスピンドル。座面とアーム以外の部材がほぼ揃いました。
Armposts, stretchers and spindles. 

アームの曲げ木用の蒸し器も制作。村上富朗さんは材料を煮て(しかも10時間!)曲げていたようですが、私は蒸して曲げます。蒸し時間の目安は、材料の厚み1mmに対して1分と言われます。たぶん30分も蒸せば十分でしょう。
Shop made steamer for arm and bow. 30 minutes of steaming should be enough for bending.

ウインザーチェアづくり / Windsor chair making

学校は3週間授業がありません。教員も休めないこともありませんが、この期間に作品づくりをしたり調査をしたり、たっぷり活動しておくと、あとから役立ちます。今年の夏は、人力でのウインザーチェアづくりがテーマです。
The school holiday has begun. I can spend three weeks for my own work and research. This year I am making a Windsor chair using green woodwork method from a sweet chestnut log.

クリの丸太を使います。直径40cm。もう少し細くてもいいのですが。

クリはまっすぐパカッと割れてくれて気持ちがいいです。
午前中に木取りを終了。

午後は足踏みろくろで脚を挽きました。今回は村上富朗さんのウインザーチェアを制作しているので飾りもそのままにつけましたが、椅子づくり講座で作る場合はもっとシンプルでいいかと思っています。
きょうはここまで。結構疲れました。

01 August 2011

北海道でグリーンウッドワーク / green woodwork in Hokkaido

札幌の高橋三太郎さんのお宅を訪ねてきました。高橋さんは日本を代表する椅子作家です。
I visited Mr.Sataro Takahashi's workshop in Sapporo, Hokkaido. He is one of the most known chairmakers in Japan.


最近は「札幌芸術の森」で市民向けの椅子づくりの講座に力を入れておられるとのことです。写真は高橋さんの椅子講座のようすとその時の作品。参加者が一部木工機械も使って加工を行い、仕上げや塗装、座張りもして6日間で仕上げるそうです。完成度の高い椅子ができます。
グリーンウッドワークにも関心を持ってくださり、ぜひ札幌で講座をやろうとお誘いをいただきました。来年春か夏に実現させる方向で相談しています。
Mr.Takahashi runs chair making courses for the public at the Sapporo Art Park. The photo below shows his chair course. Each participant makes a chair in six days.
He is interested in green woodwork and inviting me as a lecturer for a green woodwork course there. It is going to take place next spring or summer.