07 July 2011

最後の展覧会 / the final exhibition of Tomio Murakami

村上富朗さんの椅子だけを集めた、1日だけの展覧会が、6月18日に長野県東御市で開かれました。自分の椅子を100脚並べて展覧会を開くのが夢だったのだそうです。闘病を続ける村上さんに夢をかなえてあげようと、お仲間たちが企画したものです。

お客様のもとへ渡った113脚の椅子たちが、この日だけ集まりました。参加したのは全国から駆けつけた村上さんのお仲間やお客様たち200人ほど。開催時間はわずか4時間。

谷進一郎さん、高橋三太郎さん、須田賢司さん、中村好文さん、三谷龍二さんなど、木工や建築の第一人者の方たちが、村上さんとの交友や作品について語りました。写真には写っていませんが、ステージの脇で村上さん本人がそれを聴いています。お仲間の方たちは笑顔で「生前葬だね」と言っていました。あたたかな会でした。

木工家に注文して家具をつくるのと、量産品の家具を買うことの違いは何だろう、と常々考えているのですが、やはり人の魅力なのだと改めて思いました。つくる人の人柄や暮らす人への思いやり、それが感じられるのが嬉しくて木工家に家具を頼むのだろうと。人柄や思いやりは本当に作品に現れます。村上さんの椅子がそうでした。

この展覧会を企画、実行された谷進一郎さんには本当に敬意を表します。
実行委員のみなさんのブログ等で当日のようすが見られます。
実行委員の佐々木さんの投稿
実行委員の出光さんのブログ
実行委員の谷恭子さんの「スタジオKUKU」のサイト
http://www.studio-kuku.com/kobou/kohbou-1106_isuten.html


なお、追悼展になってしまいましたが、東京でも展覧会が開かれます。建築家の中村好文さんが企画されています。

村上富朗の「木の椅子たち」展

開催日時 2011年7月17日(日)  14:00~19:00
7月18日(月・祭)12:00~18:00

会場 LIGHT BOX STUDIO AOYAMA 2F東京都港区青山5-16-7
http://www.lightboxstudio.net/aoyama-top.html

入場無料 
問い合わせ先 レミングハウス 03-5754-3222

主催 村上富朗の仲間たち
展覧会実行委員 中村好文・小泉誠・佐藤重徳・入夏広親

現代日本を代表する木工作家・村上富朗は、27歳のときフィラデルフィアのカーペンターズホールでアメリカンウィンザーチェアの名品と出会い、大きな衝撃と感銘を受けました。
この出会いがきっかけになり、村上富朗はアメリカンウィンザーチェアやシェーカーの家具を自分流にアレンジして製作するようになるのですが、すぐに、それだけでは飽きたらなくなり、自分自身のデザインによる木の椅子の製作に没頭するようになりました。以来30有余年、コツコツと作り続けた椅子は、およそ300脚にのぼるといいます。
このたび、村上のライフワークともいえるその膨大な椅子の中から村上自身が選び抜いた30脚を展示し、ごらんいただくことになりました。
1人の職人が長い年月を捧げ、愛情を込めてひたすら追求して来た「木の椅子」の魅力とはなんだったのでしょう?
椅子好き、家具好き、職人仕事好きの友人知人をお誘い合わせの上ぜひともお出掛けくださいますよう。

One day exhibition of Tomio Murakami took place on 18th June in Nagano, before he passed away. It was one of his dreams to exhibit 100 chairs. His friends collected 113 chairs from the customers and made his dream come true. 200 people attended the event, including Tomio himself. His friends talked about their friendship with Tomio, and the excellence of his work.

Each chair tells Tomio's honest and warm personality which attracted many people.

The final exhibition will take place in Tokyo on 17th, 18th July.