ちなみに、「漆は英語でジャパンと言う」という通説は誤りであるのをご存知でしょうか。
19世紀半ば、開国した日本から大量の美術品がヨーロッパに流入し、各地で日本ブームが起こりました。漆工芸品もそのひとつで、高額で取引されたようです。イギリスでは当時、別の塗料を用いて日本の漆工芸品を真似た製品がたくさん作られました。その技術のことを「ジャパニング japanning」と呼びます。そして主に黒のエナメル仕上げされた家具のことを俗に「ジャパンド・ファニチャー japanned furniture」と呼んでいます。
英語でチャイナといえば磁器だと伝わることが多いのですが、残念ながらジャパンと言っても漆だと伝わることはまずありません。日本の漆のことを英語で正確に伝えたければ、「ジャパニーズ・ラッカーJapanese lacquer」と言うのが一番伝わりやすいようです。