30 July 2011

木工で被災地支援 / support suffered people with woodwork


2年生の富張さんは岩手県岩泉町出身。今年の課題研究は木工を通じた被災地支援活動に決め、まずは仮設住宅での表札づくりワークショップを行います。その場でニーズの聞き取りを行い、秋に第2弾のワークショップにつなげます。
森林文化アカデミーではこのような、社会的なニーズにこたえるものづくりに取り組みます。

The second-year student Nanako Tomihari is from Iwate prefecture, the suffered area by the earthquake and tsunami. She has decided to spend this year to support the people in the area with woodworking activities. The first activity is nameplate making for their shelters. She is going to hear further needs from the participants there and plan another activity which will take place in autumn.
It is one of our aim to respond to such social needs with woodworking.

29 July 2011

水性塗料 / water-based lacquer

木材塗料専門のメーカー、キャピタルペイントの水谷穣さんをお招きして、塗料の講義と実習をしていただきました。木造建築講座とものづくり講座の1年生が参加しました。テーマは、木工や建築に使われる「ラッカー」「ウレタン」「水性塗料」の違いを知ることです。

石油系のシンナーで樹脂を溶いて塗り、シンナーが蒸発すると膜ができるのがラッカー。
2種類の樹脂を混ぜると、化学反応で固まるのがウレタン。
そして石油系のシンナーのかわりに、水を溶剤として用いるのが水性塗料です。

水谷さんのお話では、環境への負荷を減らすため各社とも水性塗料に力を入れており、いまは性能面でウレタンに並ぶほどだそうです。車の塗装にも水性塗料が用いられているということでした。
食器や玩具用の塗料となると安全面も考慮しなければなりませんが、そうした用途にも適する水性塗料もあるようです。

オイルと違い黄色く変色することがないので、明るい色の材料をそのまま生かしたいときなどに有効です。塗り方も簡単なので、今後いろいろな用途に使ってみようと思います。

22 July 2011

スプーンづくり / spoon carving

2年生が漆を学んでいる頃、1年生たちはスプーンづくりをやっています。
自分たちがスプーンづくりを学んだ後に、こんどは一般市民向けのスプーンづくり講座があり、1年生たちはアシスタントとして講座を手伝います。
その様子は学生たちがブログにアップしてくれています。
http://monozukuridiary.blog103.fc2.com/blog-entry-147.html
ここでは、1年生たちの真剣な表情を。








The first-year students learn spoon carving at this time of the year. (The third month of the school year)
After they finish a couple of spoons, we have another spoon carving class for the public. Then the first-year students attend the class as assistants and help the teacher running the class.

「漆は英語でジャパン」は誤り

ちなみに、「漆は英語でジャパンと言う」という通説は誤りであるのをご存知でしょうか。
19世紀半ば、開国した日本から大量の美術品がヨーロッパに流入し、各地で日本ブームが起こりました。漆工芸品もそのひとつで、高額で取引されたようです。イギリスでは当時、別の塗料を用いて日本の漆工芸品を真似た製品がたくさん作られました。その技術のことを「ジャパニング japanning」と呼びます。そして主に黒のエナメル仕上げされた家具のことを俗に「ジャパンド・ファニチャー japanned furniture」と呼んでいます。
英語でチャイナといえば磁器だと伝わることが多いのですが、残念ながらジャパンと言っても漆だと伝わることはまずありません。日本の漆のことを英語で正確に伝えたければ、「ジャパニーズ・ラッカーJapanese lacquer」と言うのが一番伝わりやすいようです。

漆の授業 / Japanese lacquering

6月から7月にかけ、2年生は漆の応用的な技法を学びます。
3色の拭き漆と、2種類の塗りの技法を手板で仕上げます。

1年生のときに作った曲げわっぱや器も、しっかり拭き漆で美しい艶に仕上がりました。
耐水性もばっちり。これで毎日使えます。

ちなみに、教えているのは僕の妻です。

The second-year students learn advanced technique of Japanese lacquering. They learn three types of wiping lacquer technique and two types of painting with brush.
They also finish their oval boxes and bowls which they made during the first year.
It's my wife who teaches the lacquering.

18 July 2011

清流の国ぎふづくり県民大会

「清流の国ぎふづくり県民大会」というイベントでパネル展示をしてきました。

木工、建築、環境教育、林業など、森や木に関わる学校なのですが、今回は「清流」ということで、私たちが取り組んでいる長良川鵜飼いの鵜籠づくりの後継者育成を中心に活動紹介。
ある企業のCSR担当の方と、大学生など若者を対象にこのような分野に関心を持ってもらうセミナーを共同で開けないかと立ち話をしました。このような場に出ていって、人と会って話をすれば、何かにつながるものです。

15 July 2011

学生たちのブログ / students' blog

森林文化アカデミーでものづくりを学ぶ学生たちがブログを書いています。学校の広報と、学生たちの情報発信の練習を兼ねています。よろしかったらご覧になってみてください。
http://monozukuridiary.blog103.fc2.com/

Here is our students' blog. They write articles as a practice of promoting their works.
http://monozukuridiary.blog103.fc2.com/

竹細工 / bamboo basketry

去年の春から毎週1回、地元の職人さんに竹細工を習っています。1300年の歴史がある長良川鵜飼いの鵜籠をつくる職人さんに後継者がなく、技術を伝えなければとはじめたものです。
はじめてみると、竹細工の幅広さ、奥深さにびっくり。先生は農業用、漁業用、冠婚葬祭用(引出物を入れる籠や野辺送りに使う籠など)、200種類もの竹製品をつくります。寸法、制作手順はすべて頭の中。
将来もこの地域に残って竹細工伝承につとめる意志のあるメンバーを5人募り、かんたんな籠づくりから習い始めました。そのうち1人は、なんとか鵜籠を編めるまでになりました。
いまはみんなでザルを編んでいます。写真の上のほうは私の1個目、下は2個目の途中。まだ全然きれいにできません。
竹細工の難しさは、先生のやるのを見ても早すぎて分からない、メモを取ろうにも複雑すぎて図が描けない、機械を使わないので結局は手先で覚えるしかない、ということ。
もっと練習したいです。毎日でも編んでいたいけどなかなかそうもいきません。

7月18日(祝)10:00〜15:00 岐阜市・長良川国際会議場にて「清流の国ぎふづくり県民大会」というイベントがあります。森林文化アカデミーでは上の鵜籠を展示して、 技術伝承の取り組みを紹介する予定です。

We have been learning bamboo basketry from a master basket maker since last spring. He is the only craftsman who makes baskets for cormorant fishing in Nagara river, which has 1300 years of history. Five of us are learning once a week from him, and one has managed to make a basket for cormorants.
The difficult thing about basketry is that you have to do everything with your fingers, without any machines or power tools. You have to learn through your fingers, not through your head or eyes.

12 July 2011

村上さんのウインザーをつくる / making Murakami's Windsor chair

先日亡くなられた村上富朗さんの代名詞とも言えるウインザーチェア。これと同じものを作ることにしました。 10年以上前の雑誌に掲載された、村上さん自身の図面が手がかりです。
 村上さんは主要な部分の穴開けを手回しドリル(繰子錐)で行うなど、オリジナルに忠実な作り方をされていました。私はさらにオリジナルに忠実に、すべてグリーンウッドワークでやってみようと思います。ウインザーチェアはその昔、イギリスの森の中で、木地師たちが生木を足踏みろくろで挽いて部材をつくっていました。こちらも丸太を割るところから始めます。
村上さんを悼みつつ、夏休みの宿題として取り組みます。
Tomio Murakami, who had passed away on 3rd July, was well known for Windsor chair making. I am going to make a copy according to his original drawing as a tribute to his memory.

11 July 2011

新しい傘 / my Japanese umbrella

岐阜は日本一の和傘の産地です。教材用に買っておいた自分の和傘を、使うことにしました。いいと思うものは、しまっておかず使わないと。それに使ってみて語れることもあります。

Gifu is the biggest production centre of Japanese umbrella. I bought one a few years ago to show the students as an example of local traditional craft. And I have started using it. The umbrella would be happier to be used rather than kept in a box.

10 July 2011

カールマルムステンの学生来校 / students from Carl Malmstens school

カールマルムステン工芸学校(現在はリンショーピン大学)の学生、エドウィンさんと川辺さんが森林文化アカデミーに立ち寄ってくれました。この学校は木工の分野では世界最高峰のひとつです。ものづくりと建築の学生にスライドショーをしてもらいました。
印象に残ったこと2つ。
カールマルムステン工芸学校では、課題制作が終わるたびに各学生がスライドショー発表とレポート制作をする。発表では苦労した点を各自2点挙げ、それを教員を含め全員で20分間ずつ議論する。こうして全員が課題を共有する。これは森林文化アカデミーでもできそうです。
スウェーデンでは、7歳から15歳までの全員が、毎週80分ずつ木工とテキスタイルを勉強する。12歳までは前期に木工、後期にテキスタイル。13歳からは選択制で、どちらか好きな方。身近な材料でものをつくることは、もっと初等教育に取り入れられていいことだと思います。

07 July 2011

最後の展覧会 / the final exhibition of Tomio Murakami

村上富朗さんの椅子だけを集めた、1日だけの展覧会が、6月18日に長野県東御市で開かれました。自分の椅子を100脚並べて展覧会を開くのが夢だったのだそうです。闘病を続ける村上さんに夢をかなえてあげようと、お仲間たちが企画したものです。

お客様のもとへ渡った113脚の椅子たちが、この日だけ集まりました。参加したのは全国から駆けつけた村上さんのお仲間やお客様たち200人ほど。開催時間はわずか4時間。

谷進一郎さん、高橋三太郎さん、須田賢司さん、中村好文さん、三谷龍二さんなど、木工や建築の第一人者の方たちが、村上さんとの交友や作品について語りました。写真には写っていませんが、ステージの脇で村上さん本人がそれを聴いています。お仲間の方たちは笑顔で「生前葬だね」と言っていました。あたたかな会でした。

木工家に注文して家具をつくるのと、量産品の家具を買うことの違いは何だろう、と常々考えているのですが、やはり人の魅力なのだと改めて思いました。つくる人の人柄や暮らす人への思いやり、それが感じられるのが嬉しくて木工家に家具を頼むのだろうと。人柄や思いやりは本当に作品に現れます。村上さんの椅子がそうでした。

この展覧会を企画、実行された谷進一郎さんには本当に敬意を表します。
実行委員のみなさんのブログ等で当日のようすが見られます。
実行委員の佐々木さんの投稿
実行委員の出光さんのブログ
実行委員の谷恭子さんの「スタジオKUKU」のサイト
http://www.studio-kuku.com/kobou/kohbou-1106_isuten.html


なお、追悼展になってしまいましたが、東京でも展覧会が開かれます。建築家の中村好文さんが企画されています。

村上富朗の「木の椅子たち」展

開催日時 2011年7月17日(日)  14:00~19:00
7月18日(月・祭)12:00~18:00

会場 LIGHT BOX STUDIO AOYAMA 2F東京都港区青山5-16-7
http://www.lightboxstudio.net/aoyama-top.html

入場無料 
問い合わせ先 レミングハウス 03-5754-3222

主催 村上富朗の仲間たち
展覧会実行委員 中村好文・小泉誠・佐藤重徳・入夏広親

現代日本を代表する木工作家・村上富朗は、27歳のときフィラデルフィアのカーペンターズホールでアメリカンウィンザーチェアの名品と出会い、大きな衝撃と感銘を受けました。
この出会いがきっかけになり、村上富朗はアメリカンウィンザーチェアやシェーカーの家具を自分流にアレンジして製作するようになるのですが、すぐに、それだけでは飽きたらなくなり、自分自身のデザインによる木の椅子の製作に没頭するようになりました。以来30有余年、コツコツと作り続けた椅子は、およそ300脚にのぼるといいます。
このたび、村上のライフワークともいえるその膨大な椅子の中から村上自身が選び抜いた30脚を展示し、ごらんいただくことになりました。
1人の職人が長い年月を捧げ、愛情を込めてひたすら追求して来た「木の椅子」の魅力とはなんだったのでしょう?
椅子好き、家具好き、職人仕事好きの友人知人をお誘い合わせの上ぜひともお出掛けくださいますよう。

One day exhibition of Tomio Murakami took place on 18th June in Nagano, before he passed away. It was one of his dreams to exhibit 100 chairs. His friends collected 113 chairs from the customers and made his dream come true. 200 people attended the event, including Tomio himself. His friends talked about their friendship with Tomio, and the excellence of his work.

Each chair tells Tomio's honest and warm personality which attracted many people.

The final exhibition will take place in Tokyo on 17th, 18th July.

入試の出願がはじまりました / postgraduate application started

森林文化アカデミーの「クリエーター科」(林業再生・山村づくり・木造建築・ものづくりの4講座に分かれます)の出願が始まりました。今年度は社会人の方にも受験しやすいよう、年4回の受験日を設けてあります。しかも7/30の第1回目は学内ではなく、交通至便な岐阜駅前でやるのですが、これもはじめての試みです。詳しくはHPを見てください。
先日のオープンキャンパスでは、ものづくりを希望して話を聞きに来た人がいちばん多かったので、期待しています。

We are now accepting application forms for postgraduate courses of Gifu Academy of Forest Science and Culture.
The courses are:
Forestry rehabilitation
Woodland community development
Wooden architecture
Craft and furniture making

The entrance exam takes place four times a year. See the website for detail (Japanese only).

06 July 2011

chairmaker Tomio Murakami / 村上富朗さんのこと

「日本を代表する椅子作家」「ウインザーチェアづくりの第一人者」。いつもそんな肩書きで紹介される村上富朗さん。
長野県御代田町の工房へは、夏になると毎年のように遊びにうかがっていました。
いつもこんな笑顔で迎えてくれます。
村上さんとご縁ができたのは、2007年の夏、スウェーデンのカールマルムステン工芸学校の学生を連れて、1週間の椅子づくり合宿に伺ったのがきっかけでした。学生のハンヌ君が日本の工房で研修したいと言うのを快く引き受けてくださり、村上さんの指導のもと、ハンヌ君と私とそれぞれ1脚ずつ椅子をつくりました。
写真はウインザーチェアのスピンドルを削る村上さんとハンヌ君。師弟のようです。お酒の好きな村上さんと、毎日木を削り、お酒を飲み、温泉につかり、夢のような1週間でした。

その村上さんはみんなから惜しまれながら、7月3日に亡くなりました。
もうあの笑顔にお目にかかれないのが残念です。ご冥福をお祈りします。

Japan's renowned chairmaker Tomio Murakami passed away on 3rd July.
I have been in his workshop for a week with a student from Carl Malmstens school in Sweden to learn chair making from him. Unforgettable memory in my woodworking life.