28 September 2007

カールマルムステン工芸学校のハンヌ/ Hannu from Carl Malmsten School


スウェーデンのカールマルムステン工芸学校の学生・ハンヌ君が日本に研修に来ています。8月中は旭川のクラフト作家、丹野則雄さんの工房で研修し、9月は中部の各地の工房で研修中です。
僕はそのうち1週間、彼を引率して小諸の村上富朗さんの工房へ椅子作りの研修に行ってきました。

カールマルムステン工芸学校については、木工に携わる方ならお聞きになったことがあると思います。家具制作についてはヨーロッパ随一の学校で、他の学校で既に木工技術を取得している人や、実務経験のある社会人が入学する、ハイレベルの学校です。


一方の村上富朗さんは、ウインザーチェアをはじめとする椅子作りで知られます。特に、脚や背の細い棒(スピンドル)を鉋で削り込む、手仕事に特徴があります。
機械加工で精緻な家具制作をめざすハンヌ君が、村上さんのもとで日本の手工具を使いこなして椅子をつくるという、面白い研修になりました。


村上富朗さんのウインザーチェア


学生ながら、母国フィンランドで3年間木工を学び、社会での実務経験もあるハンヌ君。さすがに器用で、村上さんの指導のもと次々部材を仕上げていきました。写真は鉋でスピンドルを削っているところ。手ぬぐいも巻いて、師匠と弟子そのもの!


スピンドルが背にささるところを手動のドリルで穴を開けています。伝統的なウインザーチェアの作り方です。


滞在中、近所に工房を構える谷進一郎さんの提案で、ハンヌ君との勉強会が行われました。
カールマルムステン校についてのスライドショーをしてもらいながら、質疑応答。さすが木工家が集まっているだけあって、延々4時間!日本と北欧の木工についての技術や考え方の違いが分かり、興味深い勉強会になりました。


谷さんは、手斧や槍鉋の実演も!


ハンヌ君が仕上げたウインザーチェアです。組み立てずに梱包して送るので、仮組みまで。4日ほどで仕上げたのはさすがです。村上さんのオリジナルに比べ、彼らしいダイナミックな形です。

僕は別の椅子を完成させて戻ってきました。
ハンヌ君とは1週間以上を共に過ごし、北欧の木工事情など、初めて聞くことの数々に驚いたり感心したり。またいずれ書きましょう。
彼は10月7日にふたたび美濃へ来て、アカデミーの学生にもスライドショーをしてくれる予定です。